ボージャングルおじさん

あなたの好きな歌は何ですか?
好きになる歌っていうのはよくよく考えてみればなんか共通性があるものです。
メロディーとか楽器とかテンポとかいろいろありますが、
僕の場合は、「おじさんが自分の人生を語っちゃう」歌が結構好きです。
しかも、おじさんは落ちぶれて、さみしくなきゃだめです。

有名なところでは、ビリー・ジョエルピアノマンでしょうかね。
ビリー・ジョエルが駆け出しで、バーで毎晩演奏していたころのことを歌った歌ですが、
さみしいおじさんたちがたくさん出てきます。

以前ここでも紹介しましたドライヴというバンドの曲で、ヘリコプタージョーというのがあります。
サーカスの空中ブランコ芸人のヘリコプタージョーが、
人生を振り返って、自分の無駄に過ごしてしまった時間を取り戻したい、と願う歌です。
空中ブランコという生死の紙一重のショーを演じる、ということがまた彼の精神をすり減らし、哀愁を誘うのです。

そして、おじさん落ちぶれ系ソングで一番好きなのが、ミスターボージャングルという曲。
ニッティーグリッティーダートバンドのバージョンがCMで使われたりして結構有名かもしれません。
タイトルのとおりボージャングルおじさんの落ちぶれ物語なのですが、
このボージャングルさんは実在の人物だそうです。

1920年代に活躍したタップダンサーのビル・ロビンソンという人。
この人のあだながBojanglesだったそうです。
しかも実際にはこの人は落ちぶれずに普通の人生を送ったらしい。
まあ、それはともかく、歌詞の中では、獄中でタップダンスを踊るボージャングルおじさんと出会い、おじさんのさみしい人生談を聞くという話になってます。
「15年連れ添った犬がただ老いぼれて死んだんだが、20年たってもまだ悲しい」とか、「日銭を稼ぐためにバーで踊りたいけど、ほとんど刑務所にいるからだめなんだ」とか。
そうとうさみしいです。
歌の最後には、他の囚人達からお願いだから踊りを見せてくれと懇願されます。
これがまた悲しい。

でも、そんなボージャングルおじさんのお話が僕はとても好きなのです。